オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
ナギとは違う。
あたしを優しく包み込んでくれる人。
いつもあたしを気遣ってくれて、時には厳しく叱ってもくれる。
マモル君と一緒にいると。
あたしは緊張を解せた。
ホッとして、何だか気が休まる。
……それに。
彼に触れられたところが、じんわりと温かくなって。
あたしは……
マモル君に
懐かしいような
郷愁にも似た切なさを感じた。
「ありがとう、何ともないから」
あたしは直ぐにマモル君の腕から離れると、彼にお礼を言った。
「それならよかった!
君にケガをさせたら……俺が辛いから……」
マモル君の声は最後の方が小さくて聞き取れなかったから、あたしが聞き返すと。
何故か彼は頬を赤らめ、何でもない!と慌てたように桶を持ってずんずんと進んでった。
「マモル君!あたしがやらないといけないから……マモル君がナギに怒られちゃうよ!」
何とか追いついたあたしが息を切らしながら言うと、あたしを見ないでマモル君は口を開いた。