オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
あたし達は、安定感あるビニール(?)ボートで、沖のそばまで漕ぎ出た。
……すると。
予想外の景色が見えてきてあたしは息を飲んだし、博君は歓声を上げて『ありす』ははしゃいだ。
見えたものは、船底から見えた海の光景。
水色の透けた素材を使ってるから、海底の様子がよく見えた。
波が穏やかだから海の流れも荒れてない。
キラキラと輝く白い砂には赤やピンクや色とりどりの珊瑚礁があって、その間を熱帯魚にも負けない色鮮やかな小魚達の彩りは、海面から射し込む波の光芒が揺らめき照らし出す。
名前も知らない奇妙な細長い魚、ウミウシ、海藻、六本足のヒトデ……
あたしが知らない、生まれて初めて間近に見る生物達が確かに息づいてた。
「すごい……きれい」
「ほんとうに……80年生きてまいりましたが、このように美しい景色を目の当たりに出来るとは、誠に有り難い事で御座います」
絹枝さんは静江おばあちゃんと一緒に手を合わせて、何度もあたし達に頭を下げてくださいました。
何だか照れくさいなあ。