オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
黒髪の王子さまとナギと未来と(ラストエピソード)




春4月――。


満開の桜は淡い霞となって川岸を彩り、青みを増した緑と微妙なコントラストを描いてる。


視線を上げれば木々の呼吸から生じる水分でぼんやりと白く霞む春の青空。


視界の隅にある黄色い菜の花が、くっきりと際立って目に焼き付けられた。


気まぐれに吹きわたる風は川面を押して波立たせながら、甘い沈丁花の薫りを含んで緩くヴェーブがかったあたしの髪を揺らした。


膝を着いて河川敷に敷いたビニールシートの上にあるものをチェックし終えたあたしは、軸にしてた右足に力を入れてゆっくり立ち上がり周りを見渡した。


まず見えてきたのは、チカとケンのカップル。


それからマリリンとナル君カップルで、最後に到着したのはユリ一家。


もちろん、旦那さんのジュン君と……2人に生まれた子ども、長男の瑛太(えいた)君と長女の香澄(かすみ)ちゃんもいる。


今日は半年前から企画して準備してたお花見。

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