オトコ嫌いなあたしと、オンナ嫌いなあなた。【完結】
エピローグ



――8年後。





まだ風は冷たいけど、頬に感じる日の光が暖かい3月。


あたしは何気なく開けた封筒から取り出したものを、お母さんと一緒に食い入るように見つめた。


本当に、本当の事なのかな?


何度も読み返してみたけど、白い便せんに書かれた文字は一字一句違わない。


「お母さん……」


あたしがその肩にそっと手を置くと、お母さんは小さな体を震わせながら、静かに涙を流した。


あたしも泣きたかったけど、子ども達がいるから泣けない。


「おばあちゃん、泣いてるのどっか痛いの?」


長女の真美(まみ)が、心配そうな顔でお母さんの顔を覗き込んだ。


ホント、真美は優しい子だなあ。


あたしはしゃがんで真美に視線を合わせると、その頭を撫でながら言った。


「ちがうよ、嬉しいから泣いてるの。大好きな太郎おじいちゃんとやっと逢えるから。
おばあちゃんはね、真美と雄大が生まれる前から逢えなかったの。
だから、とってもとっても嬉しいんだよ」


「そうなんだ。おばあちゃん、良かったね!」


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