秘密の彼氏






「んーっ」


あっ、慎ちゃん、起きた

結局、緊張してた私は一睡もできず・・・

慎ちゃんの腕の中でひたすら硬直していた


「あれっ夢菜、起きてたの?」


ものすごく眠そうな顔で話しかけてくる

可愛いなー


「うん。寝れなかったから」

「じゃあ、起こしてくれたらよかったのに」


そう言いながら時計を見る慎ちゃん

時刻はもう6時

そんなに長い間、寝てたんだ・・・

4時間くらい?!


「夢菜、もう帰らないとな」


そう言って立ち上がる慎ちゃん

帰りたくないよ・・・

ご飯食べて、眠っただけじゃん!

もっといろいろ話したりしようよ

決して口には出せないけれど、本当はもっと一緒にいたい

そう思ってるのは私だけなのかな?


「ほら、夢菜も帰る準備しろよ」

「うん、分かったっ」


心の中で思った事は口に出せないまま、家まで送ってもらった





「じゃあね、送ってくれてありがと」

「おー。じゃあ、またな」


楽しかったよ、とか言えたら可愛いのに、照れくさくて言えない私

いつまで経っても動き出さない私を見て、慎ちゃんは車から降りると


「寂しそうな顔すんなよ。また会えるんだからさ」


その言葉の後に、一瞬だけ・・・

ほんとに一瞬の触れるだけのキスをしてくれた

ぅわっっ

どうしよっっ

また顔が熱くなって一人であわあわしてる私を見てニヤリとすると、慎ちゃんは


「じゃあな」


と言って車に乗り込み、帰って行った

こんなことしといてクールに帰って行く慎ちゃん

その大人の余裕について行けない私でした
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