PURE~君想う空~
「私一人だったら、寂しくて仕方無かったと思うわ。
でも、子供を食べさせて行かなくちゃいけなかったから、
寂しいって言ってられなかったの。
とにかく、必死で働いて子育てしてたから……。
でもね、亜紀ちゃん。思い出だけでは、人は幸せにはならないのよ?」


窓の向こうの青空から、あたしに視線を移した。


「思い出の写真や、形見に話しかけても答えは返ってこない。寂しい時に、抱きしめてはくれない……。
嫌いで別れたんなら、何処かで逢う事も出来るけど、亡くなった人には、逢えないわ……。
亜紀ちゃん、あなたはまだ若いんですもの。出会いのチャンスは、沢山有るわ。あなたを愛してくれて、大事にしてくれる人がいたら、付き合ってみなさい。
きっと、幸せになれるわよ?」


腕を拭いてる、あたしの手を、そっと握ってくれた。


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