PURE~君想う空~
「伊地知さん…。」

その手の優しさに涙が溢れた。


「亡くなった彼の事、忘れられない亜紀ちゃんの気持ちは私には分かるわ。
それは、きっと…ずっと忘れられないでしょうね。
でも、これから先も思い出と生きるのは寂しいわよ?
いいじゃない。忘れなくても。」


「伊地知さん……。忘れられないままで、他の人の胸に飛び込んでいけるんですか?」


「人はね?柔軟性が有る。亡くなった彼を思っていても、現実を生きていると、いつか思い出になるの……。
思い出は、人を優しく、楽しくさせるけど、生きていく為に幸せにはできないのよ?あなたは、生きてるの……。」



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