王子に姫の恋情を…



『…分かった』


彼方は不機嫌なままだったけど
こればっかりは私もどうしようもない


湿布を貼った上から剥がれないようにテープを2回ぐらい巻き
その上からそぅっと靴下を履いた


彼方はその間私の隣に座ってそれを見ていた



…よし、終わり

ゆっくりと足を動かしてみた後

横目でチラッと彼方の方を見てみる



肘を膝に乗せて
その上に顔を乗せて遠くを眺めている


その姿がやけにサマになっていて
…ちょっとドキッてした



なんだか
私ばっかり彼方のこと考えてるみたいで嫌だな


そう思って私はぷくーっと頬を膨らませる






『お前、何かムカつく』



…ずっと黙ってたと思ったら

最初の言葉がそれ!?



「はぁ!?何でよ!」


『何でって…何か』


意味分かんない



『ムカつくもんはムカつくんだよ』


ぶすーっと

最近こんな顔しか見てない気がする



…なんか悲しいな



彼方が分からない
分かってあげられない


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