王子に姫の恋情を…



ボスッ



保健室にあるソファーの上に下ろされた私



…なんで保健室にソファーがあるのか疑問だけど
ふかふかで気持ちいいからどうでもいいや



ふと窓の外を見ると
見事な夕焼け空になっていた



ビクッ



誰もいない教室

真っ赤に染まる空



…一瞬
あの時の映像が頭の中にフラッシュバックした



背中に氷を入れられたような
薄ら寒い奇妙な感じ


私は気が付かぬ間に
両手で体を抱えるようにして縮こまっていた





嫌だ

何で彼方といるときにこんなこと思い出すの?



もう、あれは終わったことじゃん

心配する必要なんて…




『由香里?』


ハッと我に返ったときには
真正面に彼方の顔があった



「うわっ!…あ、湿布?」

『保健の先生今日いないらしいから勝手に借りた』


そういうと
私の前にひざまづいて靴下を脱がそうとしたから


「えっ!ちょっとちょっと!自分で出来るから!」

必死で止めた



女心の分からん奴め



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