汚れた街の汚れなき天使



園内を二人で駆け回りようやく落ち着いたのが愛美の言っていたカピバラさんの前だった。




「何この子!!すごい可愛いね??」



「だな……俺も初めて見た」



ぽやんとしたその表情にすっかり癒されてこっちまで眠くなってくる。



あくびを噛み殺し隣を見ると同じく眠そうなまりあ。



天気はぽかぽかで気持ちがいいし。



大好きなまりあと二人きりだし。



こんなに幸せでいいんだろうか??



本当はこのうわべだけの幸せに浸っていたい。



だけど。



俺の性格上臭いものに蓋、は嫌いだから。



知れば知るほど「好き」って感情が増えていくんだ。



だからこそ、まりあをちゃんと知りたい。





「あのさ……なんでこういう所来た事無いのか聞いてもいい??家庭の……事情……とか??」





こんなぶしつけな質問をしてもキミは怒らない気がしたから……俺は直球で勝負に出た。




目の前には5匹のカピバラさんがまんまるな瞳で俺達の行方を見守っている。




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