{霧の中の恋人}

結局、その話はお客さんが来たことによって終わった。


思い込んでると、真実が見えなくなる…か。


俊介くん…

推理小説の読みすぎだよ…。


『瑞希はただの幼馴染だ。アイツをそういう風に見たことは一度だってねぇよ』


あの言葉の裏に、なんの真実が隠されているというのだろう。

やっぱり聞いた通りの意味しかないんじゃないかと思う。


それを大ちゃんに確認する勇気なんてないよ…。


『私のことどう思っているの?』


って聞いて、ただの幼馴染って言われたら、私は立ち直ることが出来ないだろう。


気まずくなるくらいなら、妹のようだと思われていても傍にいられる今の関係を壊したくない。


この堂々巡りの想いは、もう何年も続いている。

ぐるぐる同じステップを踏み続けて、次の一歩が踏み出せない。

同じステップを、同じところでグルグル回り続けるだけのワルツ。


足取りおぼつかず、転びそうになりながら、それでも踊り続ける…。


昨日の夜、久木さんと踊った酔っ払いのワルツのように…。




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