KISS OF LIFE
なんて思ったけど、南野課長の本気な瞳にあたしは何も言えない。

首を横に振りたくても、指のせいでできない。

ど、どうしよう…。

ふいに、恐怖心がこみあがってきた。

誰かきて、この現場見られたらをどうするのよ…。

言い訳したくても、できないじゃない。

ヘタすりゃ、あたしたちそろってクビになるの?

なんて言う妄想が頭の中をグルグルと回る。

「わっ…」

南野課長の顔が近づいてきた。

や、ヤバい…。

思わずあたしは目を閉じた。

「……彩花?」

ああ、怖し。

片目をうっすらと開けると、?の南野課長。

その距離は寸止めだ。

あたしは寸止めのところで、顔をそらしたのだ。

だって、見られたら嫌だもん…。

あたしは両目を開け、正面から南野課長を見た。
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