KISS OF LIFE
迎えに行くって、保護者じゃあるまいし。

なんてツッコミを入れると、あたしは屋上を後にした。


「彩花、遅い!」

「ごめーん!」

会社の玄関で待ってくれた七海に謝った。

あたしが遅れた理由は、行く途中で同僚の女の子たちに捕まったからだ。

昨日あたしと南野課長が一緒に帰ったって言う話を聞いたから、彼とつきあっているのかと聞かれたのだ。

まあ、テキトーに笑ってごまかしたけどね。

七海と一緒に、あたしは『居酒屋ますだ』に行った。

『居酒屋ますだ』は会社近くにある居酒屋さん。

結構値段がお手頃だから、よくくるのだ。

店につくと、カウンターで金田くんがすでに飲んでいた。

「おいっす!」

あたしたちがくるなり、真っ赤な顔で金田くんが長さんあいさつをした。

これはずいぶん飲んだんだな。

「遅いぞ、2人」

「ごめん、彩花が遅れてさー」

七海が金田くんの隣に腰を下ろすと、あたしも七海の隣に腰を下ろした。

「あたしだっていろいろ事情があるの!」

あたしは笑って答えた。

「よくわかんねーけど、今日は飲むぞー!」

同期だけの飲み会が始まった。
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