KISS OF LIFE
金田くんは、
「何だよ…」

ふてくされたように呟くと、あたしたちに背中を見せた。

彼の後ろ姿が見えなくなるまで、お互い黙っていた。

見えなくなると、あたしは南野課長を見あげた。

やっぱり、怒ってるよね?

話していたところはともかく、ハグされたところも、キスされたところも、見られちゃったから。

そっと離れようとした時、強く抱きしめられた。

「…課長?」

何で、抱きしめてるの?

あんなとこ見たのに、何で抱きしめてるの?

そう思った瞬間、涙が出そうになった。

ねえ、あたしのことを振ってよ…。

あたし、南野課長以外の男と一緒にいたんだよ?

ハグされたし、キスされたし……あたしのこと、嫌いになってよ。

「彩花…」

かすれたような声で、南野課長に名前を呼ばれた。
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