KISS OF LIFE
「何をしてる?」

聞き覚えのある声に視線を向けると、
「課長…」

南野課長がいた。

「彩花に何をした?」

南野課長が言った。

「何をした?

誰のせいで堺が泣いてると思ってるんですか!?」

噛みつくように金田くんが南野課長に言った。

「彼女がいるのに、堺とつきあってたそうじゃないですか!?」

そう言った金田くんに、
「彼女?」

南野課長が眉をピクリと動かした。

「とぼけたってムダですよ!

噂流れてますし、堺が見たって証言してるんですから!」

「見た?

それは、いつだ」

「まだとぼけるつもりかよ!」

金田くんが南野課長につかみかかろうとする。

「やめて!」

あたしは彼の腕をつかんだ。

「やめてって…二股かけられてたんだぞ!?

なのに、こいつをかばうのかよ!?」

「それはわかってる!

でも…もうやめて…」

座るように、あたしは泣き崩れた。
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