桜華乱舞 〜蒼き月夜に永遠の誓いを〜



目の前が真っ暗になった。

ただ、暖かい温もりが私の身体を包んでることしか分からない。



「くッ…」


私は顔をゆっくりと上げると、深影の苦痛に歪んだ顔がそこにあった。



「ッ、お前!?」



私はこのとき、初めて深影に抱きしめられていることに気づいた。


そして、かばわれたことも…



「怪我ない?桜……」



深影は微笑んで私の安否を心配するが、今すぐにでも倒れそうなぐらい顔色が悪くなっている。



「……なんで、私をかばった?」


だってあのままほっとけば、深影は怪我しなくてすんだはずだ。



それなのに………



「バカだなぁ…桜。かばうのに、理由なんかないんだよ。ただ……


もう、人が目の前で死ぬのを見たくない。それだけ」


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