桜華乱舞 〜蒼き月夜に永遠の誓いを〜



「はい。話すと長くなりますが、よく聞いておいてください」




そう言うと、藤姫様は私が分かりやすいようにゆっくりと話してくれた。







「ここは『琥翠国(コスイコク)』という国の中にある『陽京』という地です。
山や川に恵まれた温暖な地で、千年の長い歴史があります。


この国の歴史書には千年前から百年前までは国と国とのいざこざがあったものの、普通に暮らせるぐらいの平和はあったと記されています。


ですが、百年前を境に陽京に『妖鬼』という化け物が現れ始めたのです」


「ようき?」



聞き慣れない単語に更に首を傾げる私。



「『妖鬼』

それはこの世に未練の残った人間の魂で造られた醜く、哀れな生き物。アンタも、その目で見たはずだ」



私も見たことがあるもの・・・



藤姫様の代わりに説明してくれた深影の言葉に私は自分自身の記憶を辿ってみると、私の頭の中で『ある物体』が思い浮かんだ。



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