上弦の月と下弦の月



そこから遠く、遠く離れた異次元の世界では白い満月が輝いていた。


「生まれたのね………」


生まれた我が子を見て、母親は安堵の息を漏らす。


「双子だ、リフィーユ。
可愛い男の子と女の子。

きっと運命の子だよ、この子たちは。」

「そうだったら嬉しいわ。」


母親・リフィーユはフフッと笑みを零す。

言い伝え通り、運命の子だったとしたならば、

この国は、
この世界は、

魔王の手に落ちることはなくなる。

言い伝え通りなら。



< 2 / 37 >

この作品をシェア

pagetop