嘘。『彼』
俺は、一目惚れした様だ―



その日からあんまり時間は経たないうちに、沙良はほぼ毎日に近いくらい、店に来様になった。




毎日の様に沙良の顔を見ても全然飽きない。


ってかむしろ、派手な格好とハニカむ笑顔のギャップが益々愛しくなって行った――





そして俺は、いつの間にか沙良に惚れていた―



「今日も朝まで居ちゃった…じゃぁ…ぁりがとね〜」


「こっちこそ、ぁりがとね〜」





「じゃっ…」


「…」






帰り際の寂しそうな顔を見ると、思わず抱きしめたくなってしまった俺は、沙良の後ろ姿を抱き締めた。




振り向いた、沙良の顔が、薄暗い階段の光で、尚更綺麗に見えた。




そして少し戸惑う沙良に、俺はキスをした―






普段するキスとは比べ物にならない程の長いキスを―







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