指折り★Holiday



携帯に落とした視線を、
もう1度その子へと移動させる。




あたしの持つ携帯を見ながら、
呟くように言った。










「そういうの、
男が書いてたらキモいよね」










微笑みながら、
さらりと出て来た言葉。





――――そんなことないよ。





すぐに、口からこの言葉が
出てきそうになったんだけど。



一瞬ためらって、
その言葉を飲み込んだ。




だって。



変に否定して、
譲輝くんの正体がバレちゃったら?




あたしは、
譲輝くんのそばにはいられなくなる。


あたし以外の人が、
この秘密を共有したら?



考えただけで、
胸がもやもやする。
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