My Sweet Sweet home
高校の時、唯は2つ上の先輩に恋をしていた。ものすごく勇気を出して告白した唯の気持ちをあの男は踏みにじった。
唯は犯されて捨てられた。
それでも唯は、その男を恨まなかったし責めなかった。泣きながら、それでも必死に笑って、叶わない恋だったのに、一瞬でも一緒にいれた事を幸せに思う。なんて言うものだから、あたしもつらかった。
その晩川辺で、ついポロリと口をついて出てしまったのだ。あたしは拓兄が好き。叶わない恋してるのはあたしだよ。って。
唯はケロっとした顔で知っってたよ。って言った。
”だけど、それは叶わない恋なんかじゃないよ。拓海さんがゆかちゃんを見るときの目は愛情に満ちてる。ゆかちゃんが嬉しい時は拓海さんも嬉しそうだし、ゆかちゃんが怒ってたり拗ねたりしてる時は、拓海さんは心配してる。
それは、逆の場合も同じで。いつだって二人は気持ちを共有し合ってるように見えるよ。それって一種のセックスだなって思うんだ。ううん。セックスよりすごいことだよね。だって愛情がなくてもセックスは出来るんだもんね。
あたし犯されて気づいたよ。あたし本当はこのまま襲われてもいいって思ってたんだ。好きだったんだもん。セックスすることは、これからの先輩と唯を繋ぐ上で、とても大事な事みたいに思ってたの。でも途中でね、ゆかちゃんと拓海さんのこと思い出して思ったの。
ちゃんと心の絆がなきゃ、セックスはなんの意味も待たないんだ、って。二人みたいな愛情に満ちた関係を築いてこそ意味がある行為なんだって、あたし途中で気づいたの。
それでねそこからは必死に抵抗したんだけど、もう遅かったよ。あたしどこまでもトロいよね。
そうたんたんと話して唯はまた少し泣いた。