My Sweet Sweet home

「あーもう泣くなよばか。そんな恐かった?ほんとごめんな遅くなって。」




顔をあげると拓兄は真剣な、それでいて困ったような顔をしていた。そしてあたしの涙を指でぬぐってくれた。




拓兄、それ勘違い。全然雷恐くないの。恐かったのは拓兄が帰って来なかったこと。




「恐かったよ。ばか。」




そう呟いてあたしは拓兄からはなれた。




「フッ。すげー顔。あした顔腫れるぞ。まぁ安心しろよ。しばらく俺女はいいや。みんなの拓海でいるから。」




あたしが泣きやんで安心したのか、そんな冗談とばしてきた。




「さみー、俺べちゃべちゃなんだけど。てか、あぁ。お前もほら。抱きついてくっからべちゃべちゃじゃん。あほだなー。」




洗面所に引っ張られていき、バスタオルを出した拓兄はあたしの頭をワサワサって拭いた。なんとも言えない安心感に包まれる。





拓兄に頭をふかれながら、拓兄の胸をぼんやり見ていた。心の中で、みんなじゃなくてあたしだけの拓海でいてね。って呟いておいた。






< 37 / 64 >

この作品をシェア

pagetop