愛の華
暗い夜道を歩くときは、必ずあなたが右手をにぎってくれた
そのシチュエーションを思い出し、思わず右手を横に出す。
そして目を閉じると……――ほら、あなたがいる。
まるで本当に手を繋いでいるような気がする
右手という一部分から、どんどん私の体中に伝わっていそうなあなたの体温
私はふっと目を開いた。
「なあ、このほうがいいだろ?」
何故さっきまで前を歩いていた人が右にいるのかと思ったら…
手を繋いでいた。
私の右手を、宏太のように軽く優しく握ってくれている。
だからさっき、目を閉じたときに右手が温かい気がしたんだね――…
「…ありがとう…」
出来る限りの笑顔で、あなたに返した。
この笑顔は 私とあなたのラブストーリーの始まりでもあって
私とあなたの悲しい悲劇の始まりでもあったということを
私達は、まだ知らなかった―――…。