【コメコン】参加作品~メディカル・パニック


浅田の心配は的中した。


「はぁ?……それが誠意?」


木村のなんとも失望したような声に、焦る浅田。


(おいおい、まさかケタが違うなんて言うんじゃ無いだろうな……)


「それでは納得出来ないと?」


浅田の質問に木村は、まわりくどい言い方でこう答えた。


「ここ、病院ですよね。しかも、ここいら辺じゃ一番デカイ『大学病院』だ!」


(…だからもっと出せと言うのか?)


「そして、アンタ達は俺の体にメスを入れ、手術をした!しかも、心臓にだ!」



木村は一体、何が言いたいのだろうか?……そのまわりくどい口ぶりに、浅田は以前、誰かに聞いた事のある話を思い出していた。





『いいかい、浅田。
例えば、暴力団なんかが医療ミスに絡んできた場合……奴らは、決して金をよこせなんてハッキリとは言わない。
そんな事を言えば恐喝という立派な犯罪になる事を知っているからだ。
…その代わりに、こちらの弱みをまわりくどい口ぶりでネチネチと突いて来るんだよ』


(まさか、この木村って男は………)


浅田の背筋が凍りついた。


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