騎士戦争
「クロス隊長がビギナー様に刃を向けたぞ!」
その嘘(一声)が真実となり響き渡る
響いたそれに残っていた仲間がクロスたちを見る
斬られていた両者
先にクロスがやったのならば、ビギナーは殺されまいとクロスに仕返しをした
見事な逆転
裏切り者が尊敬すべき隊長となった時
クロスにとっては、誇り高い部下たち全てが裏切り者に見えてしまった
剣が向かってくる
どれもが弱々しく、今にも倒れそうなそれ
立ち尽くし、それらを見たクロス
目端には部下に肩を借り、さも面白そうに
“石はそこら辺に転がっているからね”
にたりと笑う口元はあの言葉を思い出させ
“いつ何が、君を痛めつけるモノとなるかは見えているようで見えないものだ”
最悪の予言が真実となった
「………はっ」
軽く笑った
はめられた自分に
騙された部下たちに
そうして――
「生き続けられるなら、生きてやろう」
最悪の舞台が整うこの場所への笑い