姫のさがしもの。


…なんで?



「別に…

我慢なんてしなくて
いいのに…」



独り言のように
呟いてしまったのは、

隠しきれない本音。




「でも…

やっぱり、俺たちは
取引相手だし。

姫夏はクライアントで。

そんな関係で
体の関係を持つってことは…」



「…何かが変わる?」



彼の言葉を遮って
聞き返した私。



変わらないはずだと
私は確信しているから
聞き返した言葉。



けれど彼は
ゆっくりと頷く。



「うん…変わる。

今までどおりじゃ
いられない。

姫夏にだって
大きな勇気がいるはずだろ?」



「・・・・・。」



私には
勇気なんて必要ない。



どうして

彼はそんなに
こだわるんだろう…。



大きなため息を
漏らす私。



そんな私に彼は

さらに残酷な言葉を
浴びせかける。



「姫夏。

俺、付き合うって
すごく重いことだと
思ってる。

俺にとって
付き合う相手ってのは

その全てを
俺が背負えるような

超特別な相手なんだよ」


わかってくれよ、とばかりに

彼は私を説得するような
口調で説明する。




…結局、あなたは
何が言いたい?



私にとっては
あなたの言葉が
苛立ち以外の何物にも
ならない。
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