姫のさがしもの。


「…いないよっ!」


急に涙がひいた。


嘘をついた私。



「別れたの?」


彼がそう聞くので
私は罪悪感から


「別れようって言ったけど…

相手は別れたつもりか
まだわかんない」


中途半端な嘘を
また重ねた。



「そっか。」


短く答えた彼は
少し黙ってから

言葉を続けた。



「姫夏はその彼氏と
3年も続いてるだろ?

俺、半年ぐらいしか
彼女と付き合ったこと
ないから

正直、

付き合うことは
すぐに別れがくることだと
思っちゃうんだよ。


そこが、姫夏と
大きく考え方が
違う部分だよな?


だけど、俺の経験上では、

別れのこない
付き合いなんてなくて

俺は姫夏とは
別れたくないんだよ」



…宮岸さんのその言葉は

今までのどの言葉よりも
納得のいくものだった。
< 445 / 544 >

この作品をシェア

pagetop