姫のさがしもの。


優希はそんな私を
心配そうな目で見ながら、


「ますます栄太くんと

別れられなくなっちゃうね」


と言った。




そう、私…

宮岸さんにも栄太にも
嘘をつきながら
浮気続行中・・・。


でも、

SEXも
してないわけだし

まだ浮気じゃないかも!

…なんて

都合よすぎ?



「うん。

栄太と別れて
宮岸さん一人に絞ったら、

後悔しそうで…」



私がそう答えると
優希は、


「宮岸さんとの関係を
断ち切って、

栄太くん一人に
戻るっていうのは?」


と聞いた。



「・・・・・。

それができたら
いいんだけど。

生憎、今の私は

宮岸さんの方が
やっぱり好きみたい。

…悔しいけどね」



そうなんだ。

私、宮岸さんが
どんなに憎らしくても

嫌いになれないんだ。


もう、宮岸さんが
大好きなんだ。


だけど、報われない。


だから、栄太も
手放せない。


私も我が儘で狡いんだ。




愛しているのは宮岸さん。

だけど、報われないから、
私の心を平和にするために
栄太が必要なの。




「もう一杯飲もっかなー!」


ヤケクソになって
お酒を追加注文
しようとする私に


「姫夏。飲み過ぎ!

もう帰った方がいいよ」


優希はそう窘めた。



「はぁ〜い…」


仕方なく、私は
そう答えて

店を出ることに
同意した。
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