白いかけら
出会い
 したいことが見つからず、俺は旅に出たのが一年前。その間、俺はいろいろな所を渡り歩いては、何でもしてきた。
 しかし、まだ見つかっていなかった。
 きっと、見つかることはないだろう。そう思えてきた。
 ふと、バイクのエンジン音に混ざって人の歌声が聞こえた。バイクの速度を落として、辺りを見渡す。
 すると、ぽつんと雪の上に一つ人影があった。
 この寒空の下、それは厚着をせずに佇んでいた。
 寒くはないだろうか。
 俺は寒さには少しばかり強い。それでも、厚着をしていても寒いと感じる。
 よーく目をこらしてみると、俺とそんなに変わらない少女だとわかった。
 俺もこう見えてまだ、十七の少年だ。ただだらしなく、不衛生なせいでそうは見えないだけだ。
 その少女がこちらを向き、手招きをしていた。
 俺は呼ばれるがまま、バイクから降り向かった。
 近づくにつれ、彼女の格好がおかしいことに気付いた。
 彼女の格好はこの場所には不釣り合いだった。
 半袖のワンピース。その丈も膝より上で寒そうだった。靴も靴下もはいてなく、素足で雪の上に立っていた。真っ白な紙の上に広がったインクのように、その服はこの雪の中で浮いていた。
 それと対照的に、服からのぞく肌は雪のように白かった。髪と瞳は、夜空に浮かぶ月のような優しい金だった。
 不衛生の黒い俺と、正反対だった。
 俺がそばに行くと、彼女はフワリと微笑んだ。
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