白いかけら
祝福
 彼女が言うには、これが神様の祝福だったんだ。
 そしてまた、試練で私たちを試したんだって。
 俺たちが、どんなに互いを求めっているのかを。
 確かに、俺は気づくのが遅かった。
 もう少し早かったなら、俺たちは一回も別れることはなかった。
 しかしそれが、俺には必要だった。なかったら俺は、気づくことはなかった。
 俺たちの試練は終わった。
 高い壁を越えた。
 後に残るのは、少しの石と分かれ道。たまに壁に突き当たるかもしれないが、俺たちはもう大丈夫だろう。
 俺たちは、ふたりで支え合いこの白い世界で暮らしていく。
 朝にシチューを食べて、白いかけらの中で歌を歌い、笑いあい、生きていく。
 白いかけらが降り注ぐ中、俺は彼女に出会った。
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