B L A S T
それは突風の如くやってきた。
ガラスを突き破り、破片が飛び散る。
太陽の光で反射した破片はきらきらと水面のように輝き、まるで夢の中にいるかのよう。
艶のある黒髪。
とらえたら離さない
その目。
そして、
鮮やかな彩りの竜が、舞い降りた。
「―――――イツキだ!」
風のような人だと思った。
しなやか動きで相手をなぎ倒すその姿に無駄がない。
気が付いたら彼一人だけが立っていた。
あっという間の出来事に状況が飲み込めないでいた楓は呆然とする。
静まり返った空間。
ジャリッ、と砂利を踏むような音が響いた。
彼の手が頬に触れ、我に返る。
「安心しろ。もう大丈夫だ」
その優しい声に、胸が熱くなった。