B L A S T

窓を開けると、気持ちのいい風が入った。

そして、エンジン音。

前を走る無数のバイクの光がきらびやかに輝いて、それらはまるで夜空に光る星屑のようだった。

赤や、青。

白。

黄。

紫。


色とりどりの光がそれぞれの個性を表している。

みんなが生き生きとした表情だった。


「ここは俺らの唯一の主張の場だ。普段は誰も俺らの言うことなんか聞いちゃくれない。だから俺らはここで叫ぶ。風を感じて自由に突っ走るほど気持ちのいいものはないよ」


そう言って、イツキは目を閉じた。


「こうしてると俺も風になった気分でいられるんだよな」






先頭に掲げた旗が揺れる。


――BLAST。


それは"突風"という意味を表していた。






甘い、煙草の匂い。


イツキは呟くように言った。






「もし生まれ変わるなら俺は風になりたい」







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