蒼翼記
「この地は合わぬか?」






「合わないねぇー…全くもって、合ったもんじゃないよ…」










愚痴のようにそう零すが、その顔は柔らかく微笑んで二人の男女を見ている。





「でもまァ、悪かぁない」



眠そうにそう結んだアキを見ていたクロスメイアスも、まどろむように目をつむった。


「そうか」


会話の終わりを計ったように小鳥が鳴く。
辺りにはライアとリンの笑い声が響く。

夢の中とも取れるような、穏やかで、優しい時間。


それぞれがその初めての経験に多少ながら戸惑い、受け入れようとしている。
そんな白昼夢のような午前だった。




「料理って難しいもんだなぁ」


しみじみとリンがこぼす。

「慣れちゃえば楽しいものよ?」


いつものようにライアが笑う。
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