†シークレット・ラブ†


重なる視線に、戸惑いを隠せない──…


心の奥に忘れかけていた想いが、溢れ出してくるような感覚に襲われて



目の前の珈琲を一気に飲み干して



「ご馳走さまでした。珈琲凄く美味しかったです」



そう言いながら、バックから財布を取り出し、500円玉をカウンターに置いて、立ち上がった。



「あっ、お代はいいって──…」


彼はそう言ったけど


「いえ、こんな美味しい珈琲、タダで飲むなんてできません。」



そう告げると、彼が言葉をかける暇もなく

あたしは「失礼します」と喫茶店を後にした。




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