少女のヴァンパイア
王宮には心があると言われていた。
本来王宮は国王であるフランの気分に従い、
雨だったり、
晴天だったりする。
だが、
王宮はキルギスを気に入り、
キルギスがいる時は、
キルギスの気持ちに従う。
グレンもまた、
王宮に気に入られているひとりだった。
「グレン、それでこれからが本題なんだ。
俺はこれを言う為にきた。」
とジャックはファイにワインのおかわりをもらう。
「なんだ?」
「……キルギス様がお前に会いたいらしい。」
「俺に?」
「あぁ。お前に来て欲しいらしい。
その他はなにも言わないんだ。」
ジャックはそう言ってワインを飲み干し、
勢いよく立ち上がる。
「時間ない、行こう。」
グレンは頷き立ち上がる。
「少しいってくる。」
ファイにそう伝えるとファイは頭を下げる。
「シュリーになにかあればすぐに伝えるように。」
「かしこまりました。」
ファイはもう一度頭を下げた。