粉雪2-sleeping beauty-
『…マツさんのイカつい顔も、役に立つことあるんだね。』


後ろから、ニヤついた顔のルミが近づく。



「オイ、千里!
このブス、クビしにろ!」


『ひっど~い!
ルミ、ブスじゃないもん!!』


膨れっ面のルミを見て、千里は笑っていた。



こんな一時はきっと、嵐の前の静けさだったのだろう。


今にして思えば、そんな風にさえ思える。



『―――ママ!
うちら帰りま~す!』


「うん、お疲れ♪」



ルミ以外の二人の女は、共に大学生で、バイトとしてスナックで働いているらしい。


週に3回ほどで、12時には帰って行く。


谷口一人居ようが居まいが、全然関係ないほど儲かっているみたいだ。



『社長!!
俺らの存在、忘れてないっすか~??』


真っ赤な顔をした清水と岩本は、すでに出来上がっていた。



「うるせぇよ、馬鹿共が!
てめぇら、明日休んだりしたら、速攻クビだからな?!」


『そりゃ~ないっすよ~!』


ゲラゲラと笑う二人に、呆れて何も言えなかった。



「…もぉ、こいつらの財布から、金抜き取っとけよ。
どーせ、明日には覚えてないから。」


『あははっ!良いね、それ♪』


ため息をついた俺に、千里は笑い掛けた。



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