粉雪2-sleeping beauty-
a stalker
天気予報では梅雨明けは発表されたはずなのに、相変わらず数日置きに雨が降る。


頼りにならない天気予報士も、ウザイほど降り続く雨も、

相変わらず俺をイラつかせていた。



『…ねぇ、マツ…。
一緒に買い物行かない?』



そしてココにも一人、俺をイラつかせる女が居る。


頻繁に俺の家に来て、口を尖らせるばかりの女だ。


いい加減性欲は溜まるし、吐き出そうにも女は連れ込めないしで、本当に腹が立つ。


コイツは俺が、どれだけ我慢しているかなんて、全く考えていないらしい。




「知るか、馬鹿が!
行きたきゃ一人で行け!」



そして俺は、ついにキレた。



『何よ、マツの馬鹿!!』


絶句したような顔で、千里は足早に家を飛び出した。


正確には、“俺の家”なんだけど。



機嫌なんて、取る気にもなれなかった。


忙しいし、眠いし、飲みすぎで頭も痛い。



だから、千里の変化なんて、何も気付けなかったんだ。


千里の身に、何が起こっているかも、何も気付けなかった。



「…あぁ、もぉ…!
何なんだよ、アイツは…!」


思い出すだけで、怒りが込み上げてくる。



そのストレスは、従業員にぶつけて。


この時の俺はまるで、爆弾みたいだった。


誰かがスイッチでも押そうものなら、簡単に爆発してしまう。


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