粉雪2-sleeping beauty-
「…隼人さん…。
俺今日、アイツに言おうと思うんです…。」



朝一番で、あの人の墓に行った。


晩に雪になったことが嘘みたいに、すっげぇ晴れ渡った空だったよな。



忘れもしない、隼人さんの命日の日―――…




「…心配しなくても、アイツは絶対、俺のトコになんか来たりしませんよ。
俺だって別に、意地でも自分のものにしようなんて考えてませんから。
…ただもぉ、隠し通す自信がないんです…。」



絶対似合わねぇような花なんか買って、セブンスターとライターだけ置いて帰った。


俺はあの人の亡骸なんて見てねぇから、

やっぱりどっか“死んだ”ってのが信じられなくて。


“どっかで隠れて見てるんじゃねぇか?”とか、

“絶対俺、殺されるよ!”って密かにビビったりもしてた。



だけど出て来る気配もねぇし、もちろん殴られることも殺されることもなかったから、

やっぱり“隼人さんはもぉ居ないんだ”って思ったんだ。




“金平糖買ってきて♪”


夕方頃、そんなメールが入ってた。


“意味わかんねぇよ!”とか思いながらも、やっぱり俺もお前に甘いから、

仕方なくだけど探し回ったんだ。


お前の好きな駄菓子屋まで行って、マジで恥ずかしかったっつーの。




だけど、聞かされた真実は、結構残酷なものだった。


お前と隼人さんの間に、子供が出来てたなんて知らなかったんだ。


そして、金平糖が子供の為だったってことも…。




『…優しいパパなんだよ、隼人は…。』



全然優しくねぇだろ?!


やっぱり俺的には、自分がどんな過去を背負ってたって、

産ませてやるべきだったって、今だって思ってる。


俺だったら、そんなことさせなかったのにな。



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