粉雪2-sleeping beauty-
セックスなんて、終わってみれば虚しいだけだ。


欲望を吐き出した後に残るのは、気だるさだけ。



纏っているだけの乱れた衣服が、体に絡まって気持ちが悪い。


助手席で余韻に浸っているのか呆然としているのか、そんな佐和は、

もっと気持ちが悪いと思った。



慣れたマルメンを咥えると、肺イッパイにメンソールが広がる。


鼻と口から一緒に煙を吐き出しながら、煙草を持っている左手でこめかみを押えた。


今日も重たく時を刻んでいるのは、すっかり主が俺になってしまった、あの人の形見。




『…本当に、付き合ってくれるんですよね?』


「…何度も言わせるなよ。」


まだ長い煙草を灰皿に押し当て、最後の煙を吐き出した。



『…夢みたいです…。』



現実なんだよ、全部…。


千里が他の男のところに行ったのも、俺がこうしてアンタとヤってることも…。



「…夢で…終わらせるか?」


『そんなの嫌です!!』


「…じゃあ、良い子にしてろ。」



他の女は、どうしてこうも簡単なんだろう…。


すぐに惚れて、体が繋げるのに…。


…何でアイツだけは、手に入らないんだろう…。



「…お前を愛してやるよ…。」



アイツの代わりに…。



『…嬉しいです…。』



嬉しいのか?


アイツの代わりが…。


やっぱコイツ、気持ち悪いわ…。



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