粉雪2-sleeping beauty-
『…何で…?!
何でイキナリそんなこと言うの?!』


電話越しにも、泣きそうな声がわかる。



「ハッ!セックスしてやっただけでも有難いと思えよ。」


『―――ッ!』


勢い良く鼻と口から煙を吐き出しながら言った言葉に、

またしても佐和は沈黙してしまった。


そして、ゆっくりと、何かを考えるように言葉を選び出す。



『…愛してるって…言ったじゃない…!』


その言葉に、吸い込んだ煙と共にため息を吐き出した。



「…馬鹿だな、お前も。
俺の言葉なんか信じてたんだ。」


『―――ッ!』


小馬鹿にするように鼻で笑った。



『…“別れる”って…言いたいの…?』


「…てゆーか、付き合ってたっけ?」


『―――ッ!』



―コンコン!

『マツ!!』


「―――ッ!」


ドアをノックする音と共に聞こえてきた千里の声に、驚いて振り返った。


瞬間、気付いたら終話ボタンを押していた。



…あっ…。


まぁ、いっか。


開いていた携帯を閉じ、ゆっくりと立ち上がって寝室から出た。



―ガチャ…

「…来てたのかよ…。」


『…来たから教えてあげたんじゃん。』


ヤル気なく聞いた俺に、千里は舌を出して不細工な顔を向けてきた。


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