粉雪2-sleeping beauty-
a friend
―――今考えると、アイツはお前の置き土産だったのかなって思えてくるんだ。


だとしたら、やっぱり全部、仕組まれていたように感じてしまう。


いつから、こうなることを予感していたんだろう。


だけど、俺があんなことを言い出すなんて、思ってもみなかったろ?




あれから千里は、フラッと俺の家に来て、何となく居て、何となく帰る。


そんな、前と同じようなことを繰り返していた。


だから俺も、フラッと千里の店に行ったりして。


“仲直り”と言えば友達みたいだし、“元サヤ”と言えば恋人同士みたいだし。


結局、俺達の関係も、千里の考えていることも、何もかもわからないままだった。



込み上げてくる愛しさは、次第に欲望に変わって。


俺にはそれを沈める術なんて、持ち合わせていなかったんだ。




♪~♪~♪

着信:佐和


この表示を見るたびに、ため息とストレスが襲ってくる。


“おはよう”とか“おやすみ”とか、

どーでも良いメールを送りつけてきても、見てさえいない。



―ピッ…

「ハイ~?」


煙草を咥え、ため息交じりで通話ボタンを押した。



『…久しぶり…だよね…。
何でずっと…電話出てくれないの…?』


「…何で俺が、お前の都合に合わせなきゃいけないんだよ。
お前は黙って、俺からの連絡待ってりゃ良いんだよ。」


『―――ッ!』


吐き捨てるように言った俺に、佐和は電話口で沈黙してしまった。



「…てゆーか、もぉ二度と電話してくんなよ。
メールもウゼェから。」


『―――ッ!』


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