粉雪2-sleeping beauty-
「…最後の記念に、一発ヤりてぇとか?」


小馬鹿にするように聞いた。


すすり泣くような声さえ聞こえ、それが余計に俺を腹立たせる。



『…お願いだから…!』



何でここまで言われても、愛し続けられるんだろう?


本当に、ストーカーみたいだ。



「…会えば、二度と電話してこないって誓うか?」


『…誓うよ…!
絶対もぉ、幸成の邪魔なんかしないから…!!』


仕方なく、行くことを約束した。


電話を切っても、まだあの女の声が耳に残る。


そんなことだけで、嫌悪感さえ抱いてしまう。







―バタン!

迎えに行った俺の車に、ゆっくりと佐和は乗り込んできた。


顔さえ見ることもなく、咥えていた煙草の煙を吐き出した。



『…ずっと…会いたかったの…。』


沈黙を破った佐和は、声を震わせた。



「ハッ!気持ち悪ぃ女だな。」


『…でも、幸成は来てくれたじゃない…。』


吐き捨てた俺に、期待でも込めている様な瞳を向けられた。



『…最後に電話した時…誰と居たの…?』


慎重に言葉を選んでいるのか、佐和は戸惑いがちに聞いてくる。



「…関係ねぇだろ。」


『…前の彼女と、別れてなかったの?
それとも、他に女が居たの?!』


責めるような言い方に、佐和を睨み付けた。



「…汚ぇ女と一緒にすんなよ。
てめぇとは、次元が違うんだよ!」


『…どーゆーこと…?
ねぇ、どーゆーことなの?!』


俺の服を掴み、縋るように聞いてきた。


その手を払いのけ、怒りをぶつけた。



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