粉雪２－sleeping beauty－

『…何で…あたしなの…？
嵐とかに頼みなよ…。』


声を震わせながら、千里は言葉を発した。


大きなため息をつきながら、言葉を選ぶ。



「…だって、アイツの運転怖ぇんだよ…。」


そして一度深呼吸し、言葉を続けた。


「…頼むから、来てくれよ…。」


『―――ッ！』


何かを押し殺すように、千里の震える息遣いが漏れ聞こえる。



「…心配…してくれてんだろ…？
俺の元気な姿…見に来いよ…。」


『―――ッ！』



何でも良いから、ただ会いたかった。


思いつく限りの言葉を並べ、千里の返事を待った。




『…今…どこに居るの…？』


「―――ッ！」



俺は、優しいお前を利用したんだろうか？


だから、あんな風に傷つけることになったんだな。


だけどこの時は、そんな運命なんて、知る由もなかった。




「…市民病院…。」


『…わかった。』


返事を聞き、電話を切ると、安心したように椅子に体を預けた。



何て言えば良いんだろう…？


でもきっと、確実に怒られるからな…。


謝らなきゃいけねぇよな、俺…。