粉雪2-sleeping beauty-
その頃の俺の私生活も、まぁわりと最悪で、

相変わらず何人も女がいたし、面倒臭くなったら手ぇ出したりしたこともあった。


殴って黙らせれば、それで良いんだと思ってた。




お前と初めて逢った日のことは、今でもよく覚えてるよ。


前にも言ったけど、“綺麗な女”ってのと、

“優しく話す女”ってのが、一番最初の感想だった。


その隣で隼人さんも笑ってるし。


俺がその時、すっげぇ居心地が悪かったの、気付いてなかっただろ?


だってお前らは、最初から最後までお互いしか見えてなかったもんな。



家に帰って、急に虚しくなったんだ。


だって俺には、何もないだろ?



“人間、女一人の為にあそこまで変われるのか”って思ったよ。


隼人さんは、俺なんかには絶対見せないような顔で笑ってた。


ちょっと悔しいとも思ったよ。



だからなのか、お前のことが頭から離れなくなった。


多分隼人さんは、そんな俺の変化に気付いてたんだと思う。




『…気にいらねぇな…』



それから殴られる理由は、大体こんなカンジだった。


俺的には、何が気にいらねぇのかもわかんなかったし、

理由もなく殴られる筋合いなんてねぇと思ってた。



二度目に逢ったのは、安西香澄と一緒に居た時だったよな。


その時初めて、“隼人さんには、全部お見通しだったからなんだ”って気付いたよ。



俺はお前に見惚れてたことにも気付かなかった。


ダセェだろ?


今だからこんな話が出来るんだよ…?



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