粉雪2-sleeping beauty-
「…この花、どーすんだ?」


千里の店の女達が持ち帰り、少しだけ少なくなった花々を見て聞いた。


閉店した店内は、先ほどまでの熱気が嘘みたいに静まり返っていた。


まるでそれは、お前が帰った後の俺の部屋みたいな。



『…ちょっとだけ家に持って帰って、隼人に見せてあげる。
残りは、マツの会社にでも飾ろうよ♪』


「…何で俺の会社まで巻き込むんだよ…。」


嬉しそうに花を触る千里に、ため息をついた。



『だって、殺風景でしょ?(笑)』




花に囲まれたお前は、すげぇ綺麗だった。


目の下に星のシールなんか貼っちゃって、ちょっと馬鹿みたいだけど。


だけどそれが、“高嶺の花”みたいだったお前を、

俺達に少しだけ近づけてくれてるみたいだった。




「…ホントに良い女になったよ、お前は…。」


『―――ッ!』


立ち上がり、千里の元に近づいて。


瞬間、千里は唇を噛み締めて俯いた。



『…馬鹿だね、マツは…。』


近づく俺を避けるようにカウンターに行き、酒の瓶を取り出した。



『あっ、わかった~!
何か企んでるんでしょ~?(笑)』


「―――ッ!」


おどけたように言う千里に、唇を噛み締める。



「いい加減にしろよ!」


『―――ッ!』


瞬間、怒鳴った俺に、千里の肩が小さく震える。


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