粉雪2-sleeping beauty-
―――そして、一緒に焼肉に来た。


カレンダーではすっかり春の季節なのに、この港町ではまだ少しだけ肌寒い。


冬よりは薄手になったとは言え、まだ上着が手放せないままだ。




「…いつになったら暖かくなるんだよ、この街は…。」


ため息混じりに肉を突く。



『ははっ!そんなこと言ってたら、この街では暮らせませんよ?』


「…そりゃそーだ。」


眉を上げて笑う真鍋に、またため息をつく。



「…てゆーかお前、嫁さんと会わせろよ。」


『良いっすよ!
その代わり、また飯食わしてくださいよ!(笑)』


相変わらず、真鍋はこんな調子だ。



「…タカるなよ、俺に。」


少しだけ笑い、煙草を咥えた。



『…この後どーします?
やっぱ、ママの店行きますか?』


「―――ッ!」


一瞬目を見開き、酒を口に運んだ。


そして、少しだけ早くなった心臓を落ち着かせた。



「…そのことなんだけどさぁ…。
結婚のこと、まだ千里には内緒にしといてくれねぇか?」


『ハァ?!何でっすか?』


真鍋が眉をしかめる。



「…頼むよ…。
俺から言っとくから…。」


『…そりゃー、俺はどっちでも良いっすけど…。』


こんな顔したのは多分初めてで、真鍋もそんな俺に口ごもってしまった。


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