粉雪2-sleeping beauty-
『…もしかして、千里ママって俺のこと好きなんすか?(笑)』


真鍋がおどけたように笑う。



「…お前、どーゆー発想してんだよ…。」


『あははっ!嘘っすよ!』


真鍋は短くなった煙草を消し、言葉を続けた。


『…色々あるんしょ?
もぉ、聞きませんよ。
どーせ、教えてくれないんでしょ?』


「…悪ぃな…。」


ため息と共に煙を吐き出し、手元に視線を落として煙草を消した。



『良いっすよ!
奢ってもらってるわけだし!(笑)』


「…他のヤツラには言うなよ?」


『わ~かってますって!』


胸を張ったように言う真鍋に少しだけ笑い、伝票を持って立ち上がった。









「…なぁ、真鍋…。
お前今、幸せか…?」


横目に真鍋を見ながら聞いた。



『やだなぁ、社長~!
変なこと聞かないでくださいよ~!』


少しだけ笑い、照れたように頭を掻いた。


その顔からも、幸せが伝わってくる。



「…羨ましいよ、お前が…。」



暖房を最強にしているはずの車内は、未だに冷気が残ったままだ。


外気と内気を両側から浴びる窓ガラスが曇る。


まるでそれは、めでたい事を心から祝えない俺みたいだ。



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