駆け抜けた少女【完】





「行くんだ……」

「行くだろ、そりゃ」

「暑さには負けますねぇ」

「…………」



反対があるかと思いきや、皆船涼みに喜んで賛同した。


やはり、暑さは我慢ならないらしい。


そして、只今船着き場へとやって来た面々は次々にユラユラと揺れる船に乗り込んで行くのだが………


「矢央、何やってんだ?」


芹沢達が乗り込み、斉藤、沖田、永倉も乗り込んだが、矢央はじっと動かない。


正確には動けずにいた。


「わ、私…船乗ったことなくて…」


恐る恐る船着き場と船の間に目をやると、ちょっとの隙間にドキドキしてしまう。


ちゃんと乗れるか(?)と、不安だった。


先程まで一番元気が良かった矢央が、気負い負けしている姿を見て芹沢はガハハと高笑いだ。


「間島、何をビビっておるか!」

「さっさと乗らぬかっ! 芹沢さんを待たすんじゃない!」


平山め……。



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