駆け抜けた少女【完】

第二話*新たな出会い


「うんうん! よぉ、似合うちょるきに!」

「はあ―…、あのぉ、おじ…」

「ねぇちゃんっ! おまんも、これで良かじゃろ!」

「え?」


変な男は、少女に問う。


「おまんは、この紐をこの女子に貰うてほしかったじゃろ?」


ニッと男が笑うと、少女は嬉しそうにコクンと頷くと戸惑う矢央の手を握った。


「ふへ!?」

「とても似合ってるよ! 大切にしてあげてなぁ?」

「えーっと……」


男を見上げると、何故か涙目になってコクコク頷いている。


はあ―…変な事になっちゃったよ……。


内心溜め息を吐きつつも、クスッと息を漏らし


「ありがと! 大切にするね」


と、少女と別れた。


までは、良かった。


―――――――が、




「はぐれてるじゃないかぁぁぁぁ!!」



矢央は、頭を抱え叫んでいた。







.
< 186 / 592 >

この作品をシェア

pagetop