駆け抜けた少女【完】


壬生浪士組副長助勤、沖田総司。 その名前に少女は苦笑い。


ーーー沖田? ハハ…まさかねぇ…。




丁度一年前の日本史の授業で似た名前を聞いた事がある。


だがそれは確か、新選組副長助勤一番隊組長沖田総司と習った。


幕末時代。京都守護職・会津藩の配下に付き、京の見回り警護をしていた人斬り集団。


ーーー最後は確か…。



その時またズキンっと頭が痛み、少女は頭を抱えた。


「どうしましたっ? 大丈夫ですか?」



沖田は直ぐに少女の肩を抱き起こすと、優しく背中をさすってみる。



「ありがとう…ございます」

「頭が痛むのですか?」

「…ちょっとなんで、大丈夫です」



大丈夫と言うが、少女の顔は苦痛に歪むのを沖田は見逃せない。


少女が目を覚ましたら土方に知らせるようにと言われているが、こんなに苦しんでいる少女を連れて行ってもいいのだろうかと。






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